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統一教の分裂

統一教会に一体何が起こっているのか? 著者は、統一教会分裂の現象を長年に亘って観察し、歴史的研究方法によって研究してきた。この本は、膨大な統一教会の一次資料に基づき、統一教会分裂の原因から過程、結果を詳細に記述し、統一教会の未来を見ている。

7章統一教の激しい分裂とカリスマ崩壊 1)分裂の内幕(2009年4月〜2010年6月)‐1

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7章統一教の激しい分裂とカリスマ崩壊 1)分裂の内幕(2009年4月〜2010年6月)‐1

7章 統一教の激しい分裂とカリスマ崩壊

 

文顯進は、創教者と真の家庭に対する期待を2009年半ばまでは捨てていなかったようだ。統一教会の非難と妨害[1]GPF活動を中止しUCIを差し出せという創教者の命令[2]にも関わらず、文顯進は創教者が自身に与えたGPFの使命に集中し、かなりの成果を収めた。統一教会の全ての状況が自身を除去するための目的で展開されていたにも関わらず、文顯進が見せた態度は客観的に見て非常に安逸であった。文顯進は、事態が深刻な水準となり取り返しのつかない状況にあった20092月までも、正確な状況[3]を区別できなかったものと思われる。韓鶴子を中心に文亨進、文國進、第1世代の高位指導者が統一教会を掌握するために、組織的で緻密な対応をしてきた態度とは対照的である。

 

文顯進の周囲には、1998年から文顯進に従った二世圏の若者数名[4]と統一教会分裂の実状を知った一部の統一教会人がいただけだった。文顯進のために命をかけた高位幹部や長老は、ごく少数に過ぎなかった。文顯進は関連情報が遮断された状態であり、韓鶴子と真の家庭の家族ら、さらには創教者までが文顯進を非難する状況で文顯進の立場を擁護することは何を意味するのか、高位幹部はあまりにもよく知っていた。見方によっては、文顯進は統一教会の権力争いという政治ゲームに敗北したとも見ることができる。もう少し緻密に統一教会の現実と指導者の属性を看破し、彼らの支持を得ながら、創教者のカリスマを無事に受け継ぐ瞬間まで賢く対応していれば、果たして現在の統一教会はどのようになっていただろうか。

 

 

1)分裂の内幕(20094月〜20106)

 

2009.4.12.文仁進、米国総会長として米国ニューヨークにある統一教会所有のマンハッタンセンターを中心にメガ・チャーチの活動開始。

 

2009.4.19.「真の父母様聖婚50回金婚式及び天地父母天宙カイン・アベル(善悪)平和安着大会」が天正宮で開かれる。創教者は「カイン•アベル完全一体圏の門が開かれる」と宣言し、韓鶴子の責任に対し深刻に言及した。

 

ラスベガスに行って談判しなければなりません。女が淫乱の種をばら蒔いておきながら、自分を主張して男の天辺に上がろうと言うのです。ラスベガスに行けば、それは女の世界です。淫乱の王国です。レバレンド・ムーンがその淫乱の王国にお母さんを連れて行って、「お母さんも先生の肩の上から天辺に上ろうとしますが、そこでお母さんの言葉に屈してはならない」。これです。97%をお母さんに全て投入しましたが、3%だけは…。私が絶対97%に120%までしました。23%を加えて、私に返そうという気持ちがないときは、精子の種がお母さんのお腹の中に入ることができないということが、統一教会の師が行く最後の峠、境界線を越える位置です。どれほど深刻か分かりません。[5]

 

2009.4.28.文國進と文亨進,韓国青年連合の監査を実施し、会長交替を発表(青年連合世界会長は文顯進であった)

 

2009.5.当時UCIの理事であった朱*文・金孝律氏が韓鶴子の同意の下、創教者に既存の5人の理事のほか2(文善進•金起勲)の補強を提案

 

2009.6.1.創教者が天宙清平修錬苑3階で、UCI理事長を文顯進から金起勲に代える人事を断行する。

 

2009.7.10.文仁進、ビデオ礼拝を米国の全国教会に拡散

 

2009.7.12.創教者が韓鶴子を神様の夫人の位置に立てることはできないと言及する。

 

お母さんがどれほど大胆か分かりません。こうした原理原則を中心として天の国の天法生活に入ると一編に引っかかり得る状況がたくさんあることを知らずに勝手に生きています。そこに引っかからないように私が垣根になってあげて、蘇生時代から国家解放圏までもお母さんを保護する責任を今しています。垣根なることは自分の垣根圏と対等な位置でできるのではありません。先生が作った垣根ができる前はできません。お母さんがどうして神様の夫人の位置に立てますか。堕落した女として、どうして真の父母の夫人の位置に立てますか。真なる僕の夫人の位置にも立てずに追い出されて。それを殺してしまおうとするのにですよ。そのような人を掴まえて神様の夫人の位置に立てますか。そんな馬鹿げた行動がどこにありますか。[6]

 

2009.7.13.日本統一教会から「ワシントン・タイムズ」への支援が、文國進が日本教会の実権を握った直後の2009713日から突然、中止される。

 

2009.7.17.世界宣教本部「統一教会の名称と統一旗(統一マーク)の全面的な活用に関する件」公文(公文:世家宣2009-37)

 

2009.7.29.文國進120教会巡回記念特別集会が本部教会で開かれ、文亨進天一国食口礼拝発足式が麻浦教会で開かれる。

 

2009.10月~:KJPJらは、200910月から創教者が許可したという口実と共に公に米国UCIを対象に訴訟を準備。

 

2009.10.8.PJは、創教者に文顯進が700万ドルを盗んだ[7]と報告した。創教者は米国イーストガーデンの訓読会で、文顯進が公金を勝手に使っていると公の場で非難した。創教者は韓国に帰ってから何日も経っていない郭錠煥を再び米国に呼び出し、そのお金を取り戻せと厳命を下した。郭錠煥は米国に急いで戻り、創教者に一部始終と無辜であることを説明したが、創教者は、すでに耳を塞いでいる状況であり、PJは一言の謝罪もしなかったという。さらに108日、P氏は米国統一教会理事会を主管していた**に電話をかけ[8]、創教者が、全ての法的手段を動員してでもUCIを取り戻せと指示したと伝え、日本が協助すれば訴訟の準備をすると述べた。**は、創教者が指示すれば日本は協助する準備ができているといった。

 

2009.10.22.10月初め、PKJ氏とKJによるUCIを奪うための法的訴訟が推進されることにより、文顯進は、Jをワシントン・タイムズ関連企業(WTA)の社長から解任する。

 

2009.11.4.文顯進は創教者に書信を発送し、父に対する変わらない信仰とUCI財団を保護することが摂理と創教者を守ることであると切に訴える。

 

…お父様、私はお父様の息子であり、お父様との父子の関係は永遠に変わりません。

 

私はお父様から離れておらず、いつもお父様は私の心の中心であり、み旨と摂理の中心に立っておられます。

 

…。統一教会という枠組みから抜け出し、神様の祖国と父母国連を建設するための真なる超宗教運動と超国家的な活動を導いてきました。これが、私があらゆる憶測と無理解の中でも2007年からGPFを展開してきた本当の理由でした。

 

…この時点でお父様の心を最も苦しめ、息子として引き裂かれる悲しみを抑えられないようにすることは、摂理的に最も切迫し、お父様の歩みを最も美しく輝かせてさしあげなければならない結実の時に、父子間において、み旨の前に信じ協力できる基台が崩れているという事実です。

 

…今、私を最も苦しめることは、真の愛を中心として最も原理的でなければならない真の家庭を巡り、真実と正義が生きておらず、偽りと非原理的な方法が正統となり、摂理を決定する手段となっているという事実です。今まで誰も歩むことのできなかった人類歴史最初の真の家庭の歴史において、これが、お父様が認められた一つの先例として残されているということを眺めるこの息子は、悲痛を禁じ得ません。お父様と私の間に少しでも隙があってはならないために、その公的な基準を絶対視して来ましたが、実際にお父様は真実をご存知ないまま、誤った報告のみを信じて、この息子をむしろ背教者として追い込み、分かれるしかない窮地に追いやっておられます。

 

40年間見守って来られたこの息子の生活と行動、数多くの公的壇上でお父様を証しながら叫んできたこの息子の訴えと絶叫は、お父様の記憶から消え、残ったものは、私がお父様の地位と権限、さらには財物を乱用し、第2の真の父母となってお父様と別れようとしているという偽りの証言しかありません。この息子がこれほどまでにお父様に近づいて、40年間変わらずお父様と共に走ってきた息子がここにいることを知らせようとしましたが、あなたはすでに、いかなる声も私の欲と執着としてしか受け取って下さいませんでした。

 

…神様の摂理史において重大な節目を迎えたこの時に、痛みや試練が繰り返されるほど、私の役割と使命はますます明らかになっています。端的に言いますと、私は神様の摂理的方向とお父様の永遠なる業績を守るため、どのような闘争と困難も甘受する覚悟ができています。これは決して妥協することができないためにそうなのです。このような決断と共に、私はお父様を保護し、UCI財団を守るために必要な措置を所信を込めて取っていきます。…

 


 

[1] 統一教会は、20094月からワシントン・タイムズに送金していた公的資金を適時に送金せず、20098月には送金を完全に停止した。

 

[2] 2009.9.10.米国ラスベガスにおける文顯進と創教者との再会時の対話、当時、現場にいたK氏の証言:20099月以降、創教者は完全に文顯進に反対する立場をとるようになった。2009.10.8.文國進と金孝律の通話。

 

[3] 文顯進が米国総会長の職権で米国理事会を2009223日に召集することを金孝律に告げた時、金孝律は創教者に米国の状況を正確に報告せず、創教者が任命した理事を文顯進が一方的に変更したと創教者を誤解させた。

 

[4] 統一教会の事態が進行する間、文顯進を中心に組織されたSTF出身者の多くは文顯進を支持しなかった。創教者から全権を受け継ぎ出発した公的任務において、宗教的価値であると見ることのできる「摂理」と「み旨」だけに余りにも執着し過ぎたため、個々人の心情や事情を考慮しない「頑固さ」がもたらした結果であると見ることができる。一つの組織の様々な状況と葛藤を網羅できる成熟したリーダーシップが、1998年、当時30歳を過ぎたばかりの文顯進にとって、なくてはならない徳目であった。

 

[5] 『み言選集』610,139-140.2009.4.22.

 

[6] 『み言選集』614,28.2009.7.12.

 

[7] 郭錠煥の陳述「金孝律と朱東文が、顯進様が700万ドルを盗んだという偽りの報告をお父様にしなければ、おそらく彼の醜い姿は明らかにはならなかっただろう。この事件は、顯進様の誤解を解く過程において珍成氏に火の粉が飛んだ。なぜなら、2007年頃、事業が失敗した時に、彼が500万ドルという大金の支援を受けたという事実が明らかになった。この500万ドルは貸付という形で契約が締結されていた。しかし、珍成氏はその資金を返済するつもりは全くなく、自分にただで与えられたものと考えていた。顯進様が700万ドルを盗んだ泥棒であると誤解される状況でも、彼は自ら事実を明らかにしなかった。結局、その500万ドルをどのように使用したのかという珍成氏に対する法的追及が加わることになった。その時になって、差し迫った珍成氏は一切を取り上げないことにしようとしながら、なぜ今になってその話を取り挙げるのかとして収拾しようとしたが、すでに時は遅かった。珍成氏は法廷に長文の手紙を提出した。彼はその手紙の中で支援を受けた資金は、家族間で私的に受け取ったものなので返済する必要はないと主張し、さらに80万ドル程度が残っているが、それに対してむしろ感謝しなければならないと説明した。裁判所は珍成氏の手紙を棄却し、彼の口座は凍結された」

 

[8]米国統一教会理事会(PK、電話で**UCIに対する法的訴訟を議論) PK: But one thing he clearly suggested for, guided, and directed to us was that somehow we have to find a legal means legal means -to get the UCI back, without hurting anybody. That means we dont have to put anybody in the jail, but by utilizing legal ways, legal means, we have to secure the UCI again for the sake of the providence, particularly in America for America. So Mr. J and I discussed this issue after the talk. And he is ready to take action if Japan, in other words. * Nim is behind us. Father even mentioned that even if it costs a lot we have to do it. So we have to retain a good law firm in Washington DC. And Mr. J said that the one he contacted is the best one called, something like Williams [and Connelly], or whatever the name is. That doesn’t mean that we really have to take anybody to court, you know, to receive judgment from the court. But by utilizing this legal way, we can probably bring the people who took the UCI away to the, kind of what do you call it, negotiation table. That’s the kind of directions and understanding we had this morning. I just had a brief meeting with Mr. J and departed. IJ: Well, you know, whatever Father orders we do. If that’s what Father wants then we’ll support it, whatever Father wants. You know that.



 




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プロフィール

HN:
JUN
性別:
女性
自己紹介:
「統一教の分裂」を読んで衝撃を受けた6500双の在韓日本婦人です。一人でも多くの日本人に読んで欲しいと思い、翻訳してブログに発表していくことにしました。

「統一教の分裂」目次

序文
1.特異な現象/1
2.統一教のアイデンティティ形成/5
  1)血統復帰の神話/7
  2)教理の形成:原理原本/11
  3)組織、教理、儀礼の体系化/14
  4)血統復帰儀礼の原型:創教者の聖婚式、子羊の宴/20
  5)血統復帰儀礼の拡張:統一教会信者の祝福結婚式/24
  6)祝福結婚式の過程と構造/28
  7)統一教会信者の生活と性的アイデンティティ/32
3.アイデンティティの大衆化/37
  1)血統復帰の拡張/37
  2)血統復帰儀礼の日常化:衆生式、復活式、永生式を通じた血統復帰/38
4.宗教を超えたアイデンティティ/43
  1)世界平和統一家庭連合の登場/43
  2)信念体系の確定:<8代教材教本と究極の真理/49
  3)創教者の使命完遂と人類解放日の宣布:基元節宣布/51
5. 創教者のカリスマ伝授の試みと反発/57
  1)文顕進の登場:カリスマ伝授の初の試み/58
  2)1世代の反発:世界基督教統一神霊協会の分裂開始/68
  3)文国進の登場と分裂の可視化/84
  4)文亨進の登場とアイデンティティの歪曲/97
6.カリスマ伝授の失敗:文顕進の追放過程/107
7.統一教の極限分裂とカリスマの没落/155
  1)分裂の内幕:2009年4月~2010年6月/156
  2)罠にかかった文顕進/165
  3)創教者の宣言文とカリスマの没落/167
  4)分裂の内幕:2010.6月~2012.8月/179
8.統一教の創教者が他界する/205
9.韓鶴子の変心/217
  1)教理の変更/217
   ①『天聖経』変更/219
   ②<家庭盟誓>変更/222
   ③『文鮮明先生御言葉集』内容削除した後、再配布/225
   2)文国進と文亨進の追放/230
10.韓鶴子の神格化の試み:神様の婦人から独生女へ/239
  1)韓鶴子の不順従/245
  2)神格化の最初の作業:神様婦人論/252
  3)神格化の二番目の作業:独生女論/262
  4)独生女論の教理化:『真の父母経』/274
  5)韓鶴子の現状分析(2012.9~現在)/277
   ①韓鶴子の自意識の変化/278
   ②韓鶴子のカリスマ/282
   ③韓鶴子の関心/283
  6)韓鶴子の現状の小結論/286
11.文亨進の最近の現状/291
  1)文亨進の説教/292
  2)文亨進の自意識/296
  3)創教者 崇拝/301
  4)韓鶴子への公開非難/303
12.文顕進の最近の現状/311
結び/317
参考文献/325
エピローグ/341