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統一教の分裂

統一教会に一体何が起こっているのか? 著者は、統一教会分裂の現象を長年に亘って観察し、歴史的研究方法によって研究してきた。この本は、膨大な統一教会の一次資料に基づき、統一教会分裂の原因から過程、結果を詳細に記述し、統一教会の未来を見ている。

2. 統一教会のアイデンティティ形成 P5~P14(脚注部分)

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2. 統一教会のアイデンティティ形成 P5~P14(脚注部分)

6) Anthony F. C. Wallace, Religion An Anthropological View (New York, Random House,1966), pp.102-104.

7) 「宗教が行っていることを見ればよく分かるように、儀礼が宗教を構成する。ほとんどの宗教的行 為と儀礼の場合、儀礼は単なる宗教の一部ではなく、宗教そのものである。宗教はつまり、妥当 な儀礼行為で構成されている。宗教的信仰は儀礼の効果と価値に対する信仰である。そして、神秘的な神学を別にしたとき、神学は儀礼が行われなければならない理由についての説明である」 Raglan,The original of Religion.London (Watts,1949) p.47.アンソニー・ウォレス,金種奭訳, 『宗教人類学』(図書出版アウネ,2011),119-120頁再引用.

8) 他宗教の救援論と区別される統一教会の血統復帰救援論は、統一教会の代表的な教理書である 『原理講論』に具体的に明示されている。すなわち『原理講論』によると、神様の子女として創造 されたエバが蛇に比喩された霊的存在である天使長と霊的不倫関係(血縁関係)により霊的堕落を し、更にアダムとの肉的不倫関係により肉的堕落をしたと主張する。アダムとエバが堕落したことに より、彼らは神様の善の血統を繁殖することができず、サタンの悪の血統を繁殖することになったと いうのだ。世界基督教統一神霊協会,『原理講論』(ソウル:成和社,1984),80-82頁.

9) 本名はムン・ヨンミョン(文龍明)で、父・文慶裕、母・金慶継の8人兄妹の次男として1920年陰暦1月6 日に平安北道定州郡徳彦面上思里2221番地で生まれた。統一教会の中では「再臨メシヤ」「救世主」 「メシヤ」「平和の王」「真の父母」などと呼ばれている。

10) 世界基督教統一神霊協会,「統一教会の足跡Ⅰ」 (ソウル:成和出版社,2006),20頁.

11) 文鮮明,『平和を愛する世界人として』(ソウル:金寧社,2009),91-92頁.

12) 世界基督教統一神霊協会,『統一教会の足跡Ⅰ』(ソウル:成和出版社,2006), 22-24頁.;世界平和統 一家庭連合歴史編纂委員会,『真の御父母様の生涯路程Ⅰ』(ソウル:成和出版社,1999),199-210頁.

13) 1995年8月12日、金聖道の長孫・鄭壽源の証言。「①罪の根は善悪の実という果実を食べたことから 来たのではなく、男女関係が原因となって現れた。すなわち、淫乱が堕落の動機となった。②イエ ス様は十字架に架かるために来られたのではなく、死なずに使命を成さなければならなかった。 ③神様は2つの大きな悲しみを持っておられるが、その第一は、アダムが堕落する瞬間を知ってい ながらも干渉できず、見ていることしかできなかった悲しみ、第二は、イエス様は神様の願いを十 字架で死なずに生きてなさなければならなかったのに、人間の不信によりイエス様が十字架に架 けられる場面を見られる悲しみだった。④再臨主は、雲に乗って来られるのではなく、女性の体を 通して来られる。⑤再臨主は韓国に来られ、万人が韓国を信仰の宗主国として知り訪ねてくるよう になる」崔重炫,『韓国メシヤ運動史研究1』,37頁.再引用.

14) 金百文,『聖神神学』(ソウル:平民社,1954),128-129頁.金百文のこのような主張は彼の履歴から見 ると、白南柱、金聖道などの影響があったことを容易に推測することができる。1954年11月に発刊 された『聖神神学』で、金百文は人間始祖の初めての堕落である原罪は、エバと蛇との不倫問題 から発現した犯罪であることを明らかに言及し、「聖神により人間の肉的な欲情性を聖化して、創造 の時の本性本質に復帰することが救援のための最後の課題」と主張した。金百文,『聖神神学』363 頁.そして、善悪の実が人間の血統に及ぼした罪悪性と遺伝性について言及し、エデンの園で蛇が エバに食べさせた善悪の実はエバの肉体的処女貞操だとした。つまり、エバが蛇に貞操を奪われ た結果、エバによって繁殖した人類は、蛇の血統を受けた蛇の子孫であり、原罪復帰のためには 血統復帰が重要だということを強調した。

15) 聖婚後にソウルで新婚生活をスタートしたが、1945年に最初の息子(文聖進,1946.陰暦3.1)が生ま れて一ヵ月ほどたった時、米を買いに行く途中、「38度線を越えろ!北側にいる神様の人たちを探 せ!」という啓示を受け、平壌(46.6.6.)に行った後に家族と分かれて暮らし、1952年11月に息子を同 伴した崔先吉と釜山で会うことになる。しかし、1954年5月1日、「世界基督教統一神霊協会」を創立 するなど、宣教活動に努めて西大門刑務所を出た後、崔先吉が家族と共に離婚を要求して、別れる こととなった。文鮮明『平和を愛する世界人として』(京畿道:金寧社,2009),93-137頁.155頁.世界平 和統一家庭連合歴史編纂委員会.『統一教会実録』(ソウル:成和出版社,2007).

16) 平壌での血統復帰儀礼に対しては、崔重炫,『韓国メシヤ運動研究1』を参考.

17) 世界基督教統一神霊協会,『信仰手記第1集証言』(ソウル:成和社,1982),82頁.107-70頁.

18) 世界基督教統一神霊協会,『信仰手記第1集証言』(ソウル:成和社,1982),84頁

19) 金種奭,『韓国メシヤ運動史研究第3巻』(ソウル:青年社,2009),13-14頁.

20) 金種奭,『韓国メシヤ運動史研究第3巻』(ソウル:青年社,2009),250頁.

21) 創始者は1950年12月4日平嬢を離れ、1951年1月28日に釜山に到着した。同年4、5月頃から「一から全 存在へ」という語句で始まる『原理原本』を執筆し始めた。「凡一洞にいる時には服も粗末でざんば ら頭のまま、独身者2人で土穴のような家で過ごしました。他人がみた時、哀れに見えたでしょう。 元弼が自分がお金を稼いでくるというので先生はそうしろと言いました。その当時、私は原理原本 を書いていたのですが、同志がどれほど尊く、ついてくる人一人がどれほど尊かったか解りません」 『み言葉選集』26巻,70頁.

22)『原理原本』は全体の目次が別途に整理されておらず、全体の構成は5巻からなっており、全体的 に2つの部分からなっている。最初の部分は第2巻から第3巻まで、創造→堕落→復帰→理想論と いう論理の枠組みと連結性を備えており、二つ目の部分は、論理的体系の関連性よりも主題がそ れぞれ独立した内容を説明している。鄭珍完,『『原理原本』に対する総論的考察』(鮮文大2001 年度修士論文),27-30頁.;「天使長がエバを見ると、美しいので神様が愛するだけの価値のある存 在であった。このエバを神様が愛されるので、その愛を奪うために、エバの愛の実体である貞操を 所有する工作を始めるが、天使長ルーシェルは神様が許諾しない行動を始めると、それ自体の心 には恐怖心と原理的呵責があった。恐怖心を持ち、エバの愛を所有しようとするために、エバの貞 操を蹂躙すると、ルーシェルの心にある恐怖心と同時に、天使長の知恵がエバと愛の一体を成す と、エバは天使長の知恵の所有者となると同時に、恐怖の心を刺激された。そうして見ると、エバ は未成熟期にあったが、自体の知恵が明るくなるのを通して見ると、エバの本当の夫はアダムだと いうことを明確に知った。それで、何も知らないアダムが自己の夫であるため、もう一度、夫として求 めようという思いで、エバはアダムに愛を強要するようになる。その強要するエバの知覚を避ける ことができず、その要求に応じると、既にエバの恐怖心はアダムにも生じ、神様の法理を脱線した ことを知ると、アダムとエバが木の下に隠れる行動が始まり、無花果の木の葉で犯行を犯した部分 を隠したのである」文鮮明,『原理原本』(未発刊図書),金元弼筆写本25-26頁.先生が直接書いた 真本を弟子だった金元弼が1953年9月前後にノートに筆写した。ページ番号は筆写本に従うもので ある。金元弼の筆写本についている目次を通しても、『原理原本』が教示しようとすることを理解 できる。
1.一から全存在に 
2.生の発祥は先有から 
3.有形世界と無形世界の同化的根本意義 
4.霊人世界と実体人世界との相対的創造原理 
5.神様の理想の中心は侍る宗教で 
6.創造原理 と堕落原理は愛から始まる 
7.神様は私を知ることによって、知ることができる 
8.原理を探そう とするが、聖書は直接教示できない 
9.それでは何故、モーセから直接み旨を工作できなかったのか 
10.生命水に対する根本的な意味 
11.神様はアダムから探す工作はできず、アベルからノ アまでサタンに対する根本意義 
12.第1次神様的責任期間は、ノアからイエスまで 
13.第2次天 のみ旨成就責任使命者として来られたイエスの責任分担摂理期間に対する根本意義 
14.イエス 昇天後も摂理する責任的根本意義 
15.復活の根本意義 
16.天使長のラッパの音と再臨との根本 意義 
17.審判に対する根本意義 
18.40日復帰しようとする摂理路程の根本意義 
19.人類歴史 発展と神様の摂理から見た弁証 
20.歴史発展の限界を復帰から見た弁証 
21.歴史から見た善 が悪に対して勝つ原理的弁証 
22.復帰歴史でできた人類発展歴史 
23.創造性復帰から見た理 想論 
24.再臨主は理想論完成の基本存在 
25.歴史的巻物の原理的解決は韓国から始まる。


23) 絶対者・神様の許可を受けていない性的淫乱行為と血統が汚されることが堕落の原因であったた め、その反対経路を辿る復帰の過程を実践することが血統復帰儀礼の内容である。すなわち、絶 対者を代身して創始者が定めた配偶者と約婚し、すでに絶対者の血統に復帰された創始者を通し て血統復帰、すなわち重生の過程を実践することが統一教会の祝福結婚式である。

24)『み言葉選集』34巻,266頁.;統一思想研究院,『統一思想要項(頭翼思想)』(ソウル:成和出版 社,1994),130頁. 

25) 結局、創始者が悟り実践した肉的堕落(淫乱行為)を復帰する神話、すなわち血統復帰神話は、 神聖な性行為を通した宗教儀礼として発展した。血統復帰儀礼の基本構造は、人間始祖アダム とエバが絶対者を裏切り、淫乱行為で堕落したために、救いはアダムとエバが堕落した淫乱行 為の反対経路で復帰しなければならず、絶対者が許可した神聖な性行為を通して救援と復帰が 成されるのである。神聖な性行為を通した復帰の過程は、その後、統一教会で「血統復帰」の祝 福結婚式として具体化された。神聖な結婚としての祝福結婚式は夫婦から家庭、民族、国家、世 界、さらには宇宙の範囲に拡大する。復帰された血統の主人公である創始者を中心とした血統 復帰の最初の過程は、創始者の小羊の婚宴で具体化された。統一教会の性的モチーフが中心と なった「血統復帰」の教理は、統一教会を姦淫及び混淫集団と言う名分を提供し、その後、「六マリア」に対する論議もこの時の話である。おそらく、統一教会の常識を超える神霊的な雰囲気と 多くの女性の集会参席、そして創始者に対する女性信徒たちの信仰的熱気もこのような論議の 一つの理由だったであろう。

26) 平壌で実践した血統復帰行事が釜山避難時代にもあったのかについての資料は、筆者は発見して いない。

27) これに加えて、先生の夫人であった崔先吉の態度も、6.25韓国戦争直後、先生が克服しなければな らない困難の一つだったであろう。彼女は救世の使命を準備していた夫と神霊的な人たちの宗教 的行為を、自身の家庭を破綻させる狂信的な行動と誤解した。『信仰手記第1集証言』(ソウル:成 和社,1982),263頁.;『信仰手記第2集証言』(ソウル:成和社,1984),329頁.

28) 「『世界基督教統一神霊協会』の意味は次の通り。『世界基督教』は古今東西にわたるキリスト教 全てを意味し、『統一』は今後進むべき目的性、『神霊』は父子関係の愛を中心とした霊肉界の調 和を暗示する表現であった。すなわち『神様中心の霊界を背景とする』という意味である。特に統 一は神様の理想世界を創るための私の理想であった。統一は連合ではない。…私が願うのは、教 派のない教会だった」文鮮明,『平和を愛する世界人として』(京畿:金寧社,2009),138-139頁.

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JUN
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女性
自己紹介:
「統一教の分裂」を読んで衝撃を受けた6500双の在韓日本婦人です。一人でも多くの日本人に読んで欲しいと思い、翻訳してブログに発表していくことにしました。

「統一教の分裂」目次

序文
1.特異な現象/1
2.統一教のアイデンティティ形成/5
  1)血統復帰の神話/7
  2)教理の形成:原理原本/11
  3)組織、教理、儀礼の体系化/14
  4)血統復帰儀礼の原型:創教者の聖婚式、子羊の宴/20
  5)血統復帰儀礼の拡張:統一教会信者の祝福結婚式/24
  6)祝福結婚式の過程と構造/28
  7)統一教会信者の生活と性的アイデンティティ/32
3.アイデンティティの大衆化/37
  1)血統復帰の拡張/37
  2)血統復帰儀礼の日常化:衆生式、復活式、永生式を通じた血統復帰/38
4.宗教を超えたアイデンティティ/43
  1)世界平和統一家庭連合の登場/43
  2)信念体系の確定:<8代教材教本と究極の真理/49
  3)創教者の使命完遂と人類解放日の宣布:基元節宣布/51
5. 創教者のカリスマ伝授の試みと反発/57
  1)文顕進の登場:カリスマ伝授の初の試み/58
  2)1世代の反発:世界基督教統一神霊協会の分裂開始/68
  3)文国進の登場と分裂の可視化/84
  4)文亨進の登場とアイデンティティの歪曲/97
6.カリスマ伝授の失敗:文顕進の追放過程/107
7.統一教の極限分裂とカリスマの没落/155
  1)分裂の内幕:2009年4月~2010年6月/156
  2)罠にかかった文顕進/165
  3)創教者の宣言文とカリスマの没落/167
  4)分裂の内幕:2010.6月~2012.8月/179
8.統一教の創教者が他界する/205
9.韓鶴子の変心/217
  1)教理の変更/217
   ①『天聖経』変更/219
   ②<家庭盟誓>変更/222
   ③『文鮮明先生御言葉集』内容削除した後、再配布/225
   2)文国進と文亨進の追放/230
10.韓鶴子の神格化の試み:神様の婦人から独生女へ/239
  1)韓鶴子の不順従/245
  2)神格化の最初の作業:神様婦人論/252
  3)神格化の二番目の作業:独生女論/262
  4)独生女論の教理化:『真の父母経』/274
  5)韓鶴子の現状分析(2012.9~現在)/277
   ①韓鶴子の自意識の変化/278
   ②韓鶴子のカリスマ/282
   ③韓鶴子の関心/283
  6)韓鶴子の現状の小結論/286
11.文亨進の最近の現状/291
  1)文亨進の説教/292
  2)文亨進の自意識/296
  3)創教者 崇拝/301
  4)韓鶴子への公開非難/303
12.文顕進の最近の現状/311
結び/317
参考文献/325
エピローグ/341