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統一教の分裂

統一教会に一体何が起こっているのか? 著者は、統一教会分裂の現象を長年に亘って観察し、歴史的研究方法によって研究してきた。この本は、膨大な統一教会の一次資料に基づき、統一教会分裂の原因から過程、結果を詳細に記述し、統一教会の未来を見ている。

8章 統一教創教者が他界する-2<動画を撮りながら・・ミスター金が聞け! 母との葛藤が表面化>

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8章 統一教創教者が他界する-2<動画を撮りながら・・ミスター金が聞け! 母との葛藤が表面化>

8.統一教創教者が他界する-2<動画を撮りながら・・ミスター金が聞け! 母との葛藤が表面化


ところが、好転しているいった統一教会の公式発表とは異なり、創教者の状態は文顯進と創教者との再会が実力行使により阻止されるとまもなく、829日から悪化した[1]2012831日、統一教会本部教会の信徒たちが招集され、創教者の病状を説明する中で金孝律の口から異常な発言が出た。

 

昨日だったか一昨日だったかよく覚えていませんが、明け方にミスター金、ミスター金と呼ぶのです。「お父様にちょっと会えるようにして下さい」と言うので早々にお連れしました。降りていくと、どれほど大変でそのような考えをするでしょうか。動画を撮りながら私にお父様の耳もとでいくつか質問して、返事をもらって欲しいというのです。急ぐからと言うのです。摂理的に大変重要な、決定的な返事をお父様から聞きたいというのです。それで私は「亨進様も韓国語が上手だし、國進様も韓国語が十分上手なのになぜ私にさせますか」私が嫌なわけではありませんが「お断りします」と言うと、國進様が「客観性が必要だ。子女の中の誰かがすれば、子女だからそのような答えをしたと言えるじゃないか」だからミスター金が聞けと。そう言って様子を伺いながら、どういう理由からかはわかりませんが、その日はお父様が目を硬く閉じて返事をされず、反応も示されませんでした。

ですから、どのような質問であったかは私からは言えませんが、だいたい3-4つ​​の質問だったのですが、お伺いすることができませんでした。何よりも質問をするにはお父様が目を開かれ、何か反応が見えるように、いくらお父様と呼んでも全く微動だにされず、反応もなく。その方たちは何を期待されてのことか、お父様に聞いてイエスかノーかを、「これはイエス、これはノー」このようにだけでも返事を聞きたがられたのです。しかし、それができませんでした。それができなかった私たちを責めるために私がこの事を申し上げます。それほど切実に、そして切に天にすがって「起きてください、起きてください」このようなを事を祈られ、そのような発想までされたのです。お父様が、ソウル大学の最高の医師の判断がそうなり、聖母病院で直接担当する主治医と集中治療室の責任課長の意見が同じであることを聞いて、亨進様と國進様の叫びを傍で見ていることができませんでした[2]

 

金孝律のこのような言及を通して、創教者が他界する直前、文國進と文亨進、そして韓鶴子はある種の葛藤を経験しており、お互いの立場が違っていたという事実を知ることができる。また、二人の兄弟が文顯進と創教者との再会を妨害した理由を推測することができる。文國進と文亨進が創教者から聞きたかった答えが、自分たちが後継者であることを確認する事であったと簡単に推測できる。動画まで撮影しながら生死をさまよう創教者に金孝律という証人を立てて聞こうとした事は、まさに後継者の認定であったのだろう。ところが、当時まで統一教会は文顯進を非難する中で、既に代身者・相続者・後継者は文亨進であるという事実を何度も宣伝していた。それでも文國進と文亨進の二人の兄弟が創教者から無理にそれを再確認しなければならなかった人知れない事情があったのは明らかである。

 

また、金孝律が結局は、この二人の兄弟の要求を聞き入れず、この事実を暴露したという点は、既にこの当時、文亨進と文國進を中心とした統一教後継構図に問題が発生したことを意味する。代身者・相続者・後継者として認めた韓鶴子を信じ、彼女に代わって文顯進を除去するために様々な悪役を引き受けた二人の兄弟の実状が金孝律の暴露で明らかになった。父の生死が行き来する状況でも、ひたすら後継者の位置にだけ執着する破倫児としての烙印が押されたのである。

 

組織の上にいた[3]金孝律の権威が天を突いていた時であったが、統一教会人を集めて文國進と文亨進の実体を暴露したこの発言が韓鶴子の許可のないものであるとは思えない。文顯進を完全に除去した状態で、韓鶴子が文國進と文亨進を追い出すシナリオを既に稼動させていたと見ることは無理な推測ではない。

 

生死をさまよいながら、201293日午前154分、創教者は清心国際病院で93歳の一期で聖和[4]した。国内外のマスコミは創教者の他界を特筆大書した。それほどまでに熱望していた2013113日の基元節をわずか数ヵ月前にして創教者が他界することを予見した人はなく、普段から120歳まで生きると語っていたこともあったので創教者の他界は衝撃であった。

 

創教者の他界直前まで続いた統一教の分裂は、あまりにも残酷であった。韓鶴子と文國進、文亨進は、統一教会のアイデンティティを代表する真の家庭の​​秩序と価値を破壊してまで、文顯進を統一教会の現場から引き離した。創教者の聖和直後に公開された米国総会長IJの私生児出産と不倫の事実、文亨進の学歴詐称、統一教会の実態が世の中に再び暴露され、文亨進は世界平和統一家庭連合を『統一教』という新しい宗教でそのアイデンティティを変えて創教者夫婦を神格化し、見慣れない儀礼に集中していた。それだけでなく、創教者が他界する約1ヵ月前の201281日、韓鶴子の黙認の下、文國進と文亨進がUCIを相手に提起したヨイド聖地パークワン訴訟の第2審公判で統一教会は敗訴した。訴訟後、統一教会が支払わなければならない損害は並大抵のものではなかった。一言で言うと、創教者が他界した20129月、統一教は内外において最悪な状況を迎えていた。

 

一つ驚くべきことは、統一教が創教者の他界さえも文顯進追放の機会としたという事実である。すでに創教者が生死をさまよっている時でさえ、文國進と文亨進は文顯進と創教者との再会を妨害している。さらに、統一教会は『真の家庭』の実質的な長男であり喪主である文顯進に臨終を知らせなかった[5]。また、彼の名前を遺族名簿から削除して発表した[6]。聖和式の期間に父を訪ねてきた文顯進を追い返す侮辱を与えた[7]

 

201299日『文化ジャーナル21』は当時の状況を詳しく伝えながら、文顯進を支持する統一教会祝福家庭緊急対策委員会の主張を報道した。特にこの新聞は、天宙聖和式実行委員会委員長である石*淏が柳*義に送った携帯メールを載せている。

 

 

 

発信:天宙聖和式実行委員会委員長・石*

受信:文顯進法的代理人・柳*

タイトル:伝達事項

 *義氏!

この公式メッセージを受信したら、直ちに顯進様に報告して下さい。

顯進様! 

 今まで顯進様は真のお父様が集中治療室に入院されている期間はもちろん、清心国際病院での臨終、そして聖和式が準備されているこの時間まで、真のお母様にお会いしたり、聖和式に関する問い合わせ、または関心すら見せられず、公式の立場発表が全くありませんでした。

 

したがって、明日の中央日刊紙に真のお父様の聖和委員会名簿の発表を準備していますが、米国と韓国で数件の熾烈な訴訟が展開されている状況で、顯進様の同意なしに遺族名簿にむやみに顯進様の家庭の名前を入れることができず、除外する状況におかれています。

 

今、この時刻にも真のお母様は遺族名簿に入れようとされています。顯進様が純粋な真の父母様の真の子女様として戻って来られることを待っておられます!迅速な回答をお願いします。

 201295日午後630

 

 この携帯メールは、統一教が文顯進をどのように見ていたかを示している。統一教が創教者の病院での治療と臨終などを文顯進に知らせたというが、全体の状況を通して見た時、信憑性に欠ける。文顯進の家族が遺族名簿から抜いた理由を文顯進の同意がなかったからだという。統一教の説明は言い訳に近く非常識的である。韓鶴子と文國進、文亨進は、文顯進の存在を徹底的に消そうとした。文顯進を創教者の息子とは思っていなかったことを知ることができる。統一教は父の葬儀に出席もしない破倫児のイメージを文顯進にまた被せることにより、統一教会人と文顯進との距離をさらに遠ざけていった。結局、文顯進は独自に創教者の聖和式を挙行した。

 

しかし、このような事態は、統一教の宗教性に対する論難以前に、統一教を基本的な倫理すら無視する破倫的集団としての烙印を捺す根拠となった。世の中は統一教を嘲笑した[8]。文顯進を代身し聖和式を主管した文亨進は喪中に訪朝し、北朝鮮が与える賞をもらってきた[9]。文亨進のこのような行動も統一教と文亨進のレベルを明らかにする行動であった。

 

 


 

[1] 2012.8.30.統韓本,323号「総務-244」「真のお父様の摂理的闘病路程に関する石俊淏協会長のメッセージ」

 

[2] http://cafe.daum.net/W-CARPKorea/cSkJ/16839.『新東亜』20135月号,206-215.

 

[3] 2013.1.7.韓鶴子の説教「金孝律博士はお父様の代にも同様ですが特別です。全ての制度の上にいます」

 

[4] 聖和とは、統一教会人の他界を意味する統一教言語である。

 

[5] 『トゥデイコリア』2012.9.13.文顯進会長は13日午前11時、ソウル瑞草区盤浦洞マリオットホテルで記者会見を開き、ソ・インテク代弁人を通して文総裁他界及び統一教に対する立場を明らかにした。文会長は「統一教側は父・文総裁の臨終に関連する如何なる知らせも(自身には)伝えられなかった。あげくの果てには去る96日、聖和委員会(委員長:文亨進)の遺族名簿からも除名された。去る10日と11日の二回にわたって、故文総裁に参拝するために清平天正宮を訪問したが手続き上の理由で拒否された」とし、「父と息子の間の天倫を破倫した統一教指導部は、文総裁の偉業が伝授されたのではなく、むしろ、その志とは関係なく変質させた」と主張した。

 

[6] 『朝鮮日報』2012.9.6.「文鮮明天地人真の父母聖和式公告」『文化ジャーナル212012.9.9.「統一教3男・文顯進遺族名簿漏れに関する論難激化」

 

[7] 『連合ニュース』2012.9.10.「文鮮明総裁死去から一週間、王子の乱再発するか。米国から帰国した3男・文顯進会長10日弔問できず」

 

[8] 『連合ニュース』2012.9.10.「文鮮明総裁死去一週間王子の乱再発か。米国から帰国した3男・文顯進会長10日弔問できず」 『朝鮮ドットコム』2012.9.11.「統一教会3男・文顯進、文鮮明弔問拒否される」 『HOTNEWS2012.9.11.「統一教文顯進の父の弔問に行ったが家族の反対により拒否される」 『ニューシス』2012.9.12.3男・文顯進『父の弔問妨害するとは…』統一教王子の乱」

 

[9] 『ハンギョレ新聞』インターネット版,2012.9.7.「統一教・文亨進会長訪朝、金正恩の弔問受けるか」同新聞の報道によると『朝鮮中央テレビ』は7日、「最高人民会議常任委員会は、民族の和解と団結、国の平和的統一を実現し、民族共同の繁栄のための愛国偉業に積極的に貢献した文鮮明総裁に祖国統一賞を授与する」と報道した。

 




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プロフィール

HN:
JUN
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女性
自己紹介:
「統一教の分裂」を読んで衝撃を受けた6500双の在韓日本婦人です。一人でも多くの日本人に読んで欲しいと思い、翻訳してブログに発表していくことにしました。

「統一教の分裂」目次

序文
1.特異な現象/1
2.統一教のアイデンティティ形成/5
  1)血統復帰の神話/7
  2)教理の形成:原理原本/11
  3)組織、教理、儀礼の体系化/14
  4)血統復帰儀礼の原型:創教者の聖婚式、子羊の宴/20
  5)血統復帰儀礼の拡張:統一教会信者の祝福結婚式/24
  6)祝福結婚式の過程と構造/28
  7)統一教会信者の生活と性的アイデンティティ/32
3.アイデンティティの大衆化/37
  1)血統復帰の拡張/37
  2)血統復帰儀礼の日常化:衆生式、復活式、永生式を通じた血統復帰/38
4.宗教を超えたアイデンティティ/43
  1)世界平和統一家庭連合の登場/43
  2)信念体系の確定:<8代教材教本と究極の真理/49
  3)創教者の使命完遂と人類解放日の宣布:基元節宣布/51
5. 創教者のカリスマ伝授の試みと反発/57
  1)文顕進の登場:カリスマ伝授の初の試み/58
  2)1世代の反発:世界基督教統一神霊協会の分裂開始/68
  3)文国進の登場と分裂の可視化/84
  4)文亨進の登場とアイデンティティの歪曲/97
6.カリスマ伝授の失敗:文顕進の追放過程/107
7.統一教の極限分裂とカリスマの没落/155
  1)分裂の内幕:2009年4月~2010年6月/156
  2)罠にかかった文顕進/165
  3)創教者の宣言文とカリスマの没落/167
  4)分裂の内幕:2010.6月~2012.8月/179
8.統一教の創教者が他界する/205
9.韓鶴子の変心/217
  1)教理の変更/217
   ①『天聖経』変更/219
   ②<家庭盟誓>変更/222
   ③『文鮮明先生御言葉集』内容削除した後、再配布/225
   2)文国進と文亨進の追放/230
10.韓鶴子の神格化の試み:神様の婦人から独生女へ/239
  1)韓鶴子の不順従/245
  2)神格化の最初の作業:神様婦人論/252
  3)神格化の二番目の作業:独生女論/262
  4)独生女論の教理化:『真の父母経』/274
  5)韓鶴子の現状分析(2012.9~現在)/277
   ①韓鶴子の自意識の変化/278
   ②韓鶴子のカリスマ/282
   ③韓鶴子の関心/283
  6)韓鶴子の現状の小結論/286
11.文亨進の最近の現状/291
  1)文亨進の説教/292
  2)文亨進の自意識/296
  3)創教者 崇拝/301
  4)韓鶴子への公開非難/303
12.文顕進の最近の現状/311
結び/317
参考文献/325
エピローグ/341