統一教会に一体何が起こっているのか? 著者は、統一教会分裂の現象を長年に亘って観察し、歴史的研究方法によって研究してきた。この本は、膨大な統一教会の一次資料に基づき、統一教会分裂の原因から過程、結果を詳細に記述し、統一教会の未来を見ている。
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しかし、このような事態は、統一教の宗教性に対する論難以前に、統一教を基本的な倫理すら無視する破倫的集団としての烙印を捺す根拠となった。世の中は統一教を嘲笑した[1]。文顯進を代身し聖和式を主管した文亨進は喪中に訪朝し、北朝鮮が与える賞をもらってきた[2]。文亨進のこのような行動も統一教と文亨進のレベルを明らかにする行動であった。
創教者の他界(聖和)を見つめる文顯進と統一教の視角も異なっていた。見方によれば、これは韓鶴子の統一教が文顯進を追い出した理由なのかもしれない。2012年9月13日『朝鮮日報』『中央日報』『東亜日報』『ハンギョレ新聞』に発表された「文鮮明総裁聖和式に際して」という公開書信で、文顯進は自身が理解している創教者の理想と自身のアイデンティティを明らかにすることで、自身の道を行くと宣言した。文亨進も真の家庭と統一教を代表する喪主の立場から、創教者の聖和を称える聖和の辞を朗読した。
創教者の聖和を見つめる文顯進と文亨進の異なる視角は既に述べたように、二人の異なるアイデンティティに起因する。文顯進は創教者を絶対者・神様の子として、宗教を超越し神様の夢を成そうとした人間として規定しているのに対し、文亨進は創教者を宗派的次元のメシヤ、救世主、万王の王、さらには夜の神様と規定し、統一教の教主として認識している。文顯進とは異なり文亨進は、韓鶴子を創教者と最終一体を成した昼の神様として規定し、統一教会信徒たちは韓鶴子を中心に一つにならなければならないと強調している。文亨進のこのような言及は後に登場する韓鶴子神格化の中心テーマでもある。
特異な点は、文亨進が創教者の他界を積極的に合理化しているという事実である。創教者の他界は明らかに予想できず、創教者のいない基元節は誰も想像したことがなかった。それだけでなく、カリスマが完全に崩壊した状況で、それも人工呼吸器に依存して他界することにより、摂理的意味は言うまでもなく、メシヤ、真の父母、万王の王の神聖な聖和の姿を見ることができなかったにも関わらず、創教者の他界を『天上の天一国』のためのものであると合理化した。
さらに2007年1月21日、創教者が自身の他界を予言したような言及を示すことによって、他界に対する宗教的意味を浮き彫りにしている。創教者の他界が創教者の予言の失敗として理解することができ、これは創教者のカリスマが弱くなり、結局、新宗教の基盤が揺らぐ可能性もあるため、積極的に創教者の他界を合理化する他の新宗教の場合と同じ選択として評価することができる[3]。『家庭連合』から『統一教』に教名を変更し、創教者の伝統とは異なる儀礼を導入した文亨進の宗教性を考慮すると、創教者の他界を合理化するレベルはそれほど驚くべきことではない。
創教者の子女を『真の子女』と呼称することが伝統であるのに対し、文亨進は聖和の辞で『真の子女』ではなく『直系の子女』と呼称した。『直系の子女』という呼称は、韓鶴子が主導する天一国憲法に記載された用語であり[4]、創教者と韓鶴子の異質的な宗教性を代表する。文亨進が聖和の辞を直接作成していない可能性を考慮すると、すでにこの時から創教者の統一教会は、韓鶴子の統一教に変わりつつあったと見ることもできる。創教者が定めた統一教会の主要経典である『天聖経』の修正作業が、創教者が他界する前から推進されていたという事実は、これらの推測を裏付ける。
[1] 『連合ニュース』2012.9.10.「文鮮明総裁死去一週間王子の乱再発か。米国から帰国した3男・文顯進会長10日弔問できず」 『朝鮮ドットコム』2012.9.11.「統一教会3男・文顯進、文鮮明弔問拒否される」 『HOTNEWS』2012.9.11.「統一教文顯進の父の弔問に行ったが家族の反対により拒否される」 『ニューシス』2012.9.12.「3男・文顯進『父の弔問妨害するとは…』統一教王子の乱」
[2] 『ハンギョレ新聞』インターネット版,2012.9.7.「統一教・文亨進会長訪朝、金正恩の弔問受けるか」同新聞の報道によると『朝鮮中央テレビ』は7日、「最高人民会議常任委員会は、民族の和解と団結、国の平和的統一を実現し、民族共同の繁栄のための愛国偉業に積極的に貢献した文鮮明総裁に祖国統一賞を授与する」と報道した。
[3] 肉身が永生すると信じていた天父教の朴泰善と勝利祭壇の曺熙星が他界すると、この二つの新宗教は即座に創教者が他界する場合もあるという説教を探し、肉身永生に対し新しく合理化をすることにより、創教者のカリスマを続けようと努力した。金ジョンソク『韓国メシヤ運動史研究第3巻』139頁.286-289頁.
[4] 『天一国憲法』7頁.「第2章天一国国民、第2節真の父母様の家庭と祝福家庭、第24条真の父母様の家庭、1.真の父母様の家庭は、真の父母様の直系後孫とその配偶者である」