統一教会に一体何が起こっているのか? 著者は、統一教会分裂の現象を長年に亘って観察し、歴史的研究方法によって研究してきた。この本は、膨大な統一教会の一次資料に基づき、統一教会分裂の原因から過程、結果を詳細に記述し、統一教会の未来を見ている。
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文顯進の活動とアイデンティティは徹底して2013年陰暦1月13日の基元節に焦点が合わせられていた。創教者の使命者認識から人生全体を通じて一貫して成してきた「神様の夢」である「地上天国」即ち「One Family Under God」の真の理想世界実現が正に文顯進の夢であったと、この場でも力説した。彼の演説の随所に弟たちと父母から誤解を受けて非難を浴びていることに対する残念さと惜しさが現われている[1]。ところが、この日に行った演説は確かに創教者の伝統とアイデンティティを浮かび上がらせるなど、大きな感動を与えたように見えるが、彼に反対する側は一層の危機感を感じたかも知れない[2]。実際にこの日以後、文顯進の公的活動に反対する程度がさらに露骨になっていった。
2008.7.29.
統一教会において創教者の権威が失墜し、真の家庭内の秩序が崩れる別の事件が発生した。1ヵ月前の創教者専用ヘリコプター墜落事件の衝撃がまだ消えていない頃、憂慮されていたことが可視化された。文顯進の公的活動と統一教会内の影響力拡大に反対した韓鶴子、文亨進、文國進は、米国総会長であった文顯進の地位を剥奪し、代わりに文仁進を米国総会長に発令する人事公文を全世界の統一教会組織に発送した。
2005年1月初めから創教者は文顯進、文國進、文亨進の三人の息子に対する責任を明確にした経緯があり[3]、2006年4月24日には統一教会の全般的な責任構図を明確にしたことがあった。さらに、2008年7月当時まで北米と南米に対する責任を負っていた文顯進はそれなりに実績を出していた。文仁進を米国総会長の座に就ける過程で発見される二つのキーワードは、「文顯進除去」と「創教者カリスマ停止」であった。言い換えると、韓鶴子の庇護と文國進の助けを借りて人事権を握った文亨進が、創教者の指示を無視して、文顯進除去の為に本格的に作業を始めたのである[4]。
2008.8.9. 文顯進、米国GPF大会を国会広場で盛大に開催(文仁進は不参加)
この日、米国ワシントン国会議事堂の芝生広場において、政界、宗教界、文化界の指導者と一般市民など3万人余りが参加して、GPF米国大会が盛大に開催された。コロラド州のビル・リター知事は祝電を通じて「暴力が横行する地球上で開かれている平和フェスティバルは、私たちに大きな慰めを与える」と参加者たちを激励した。ジョン・ヒッケンルーパー デンバー市長は、この日を「地球村平和祝祭の日」と宣布し、市次元の平和運動同参を宣言した。文顯進はこの日の基調演説において、「神様の下の人類は一家族という理想を実現することは、全人類の希望は勿論、神様の希望」とし、「これから宗教、人種、文化の壁を崩し、皆が神様の下の一家族として団結し、アフリカの貧困、中東紛争、グルジヤ戦争、韓半島分断などを終わらせなければならない」と語った。
また、韓国から訪れた一人の霊的指導者がこの場で30万以上の米国人に対し「米国の夢は米国のみの為ではなく、全世界の全ての人の為の夢とならなければならない」と宣言した出来事を紹介しながら、正に彼は自分の父が文鮮明牧師であることを紹介した。そして、「32年前に私の父がワシントンモニュメント記念塔の前で30万大会を開催した時、私は7歳の少年として参加した」と語りながら、「その方の息子である私は、今日この場でワシントンモニュメントを眺めながら、その父の夢、即ち米国が神様のみ旨の前に選ばれた国として本当のアメリカンドリームである『One Nation under God』を成すことから一歩進んで『One Global Family under God』のビジョンを成し遂げよう」と訴えた。
文顯進に対する本格的な追放作業が進められる状況においても文顯進は、創教者が自分に任せた使命を計画どおり遂行しながら、2013年1月13日の基元節に実体天一国を宣布することができる実績を残す為に集中したようである。米国ワシントンのGPF行事が盛大に行われたが、文顯進の活動と実績は統一教会の信仰者らには知らされなかった。
一つ皮肉としか言いようがないことは、自分の公的地位が翻弄されている当時でも、文顯進反対勢力の態度とは異なり、人を通じて創教者に問う程度以外には文顯進は如何なる措置も取らなかったという事実である。客観的に見ると、文顯進のこうした安易な態度は、創教者と統一教会に対する信頼から始まったものと見られる。恐らく創教者の長男の立場であり、全ての面で卓越していた文顯進を真の家庭と統一教会の組織が突き放すと予想した人はいなかったはずである。米国総会長として公式発令を受けた文仁進がこの行事に参加しなかったことは多くのことを示唆している。
2008.8.10.文亨進、米国の総責任者は文仁進と説教の中で言及[5]
[1] 「私はこのように全生涯を通じて神様との約束を実践し、そのみ旨を果たしてこられた父母様の生き方について証してきました。そして、ご自身が収めてこられた南米での偉大な勝利を中心として、この地域で息子として引き継いだ責任を遂行してきました。しかし、父母様の精誠の中で、迫害されてきた冬の時代を脱し、全ての約束が成される時を迎えたにも関わらず、ご自身のご苦労によって探し立てられた実績を思う存分にご報告できない切なさの中で走って来ました。神様の夢、そしてお父様の夢を成してさし上げる為に生きているにも関わらず、ご自身が生きてこられた熾烈な生涯と献身的な生がどれほど正しく貴重なものであったかを、然るべく告白すら申し上げられないままに過ごしてきた過程でした。これによる寂しさが感じられもしますが、結局、神様と真の父母様なくして今、私たちがしていることに何の意味を見つけることができるでしょうか…」 文顯進,『神様の夢の実現』296頁.
[2] 創教者が文顯進を喜んで迎えて、全体の前で言いたいことを言うように指示した点、過去に組織力と資金力で行事の為の行事をしてきたのとは違い、文顯進の南北米の実績は次元が違っていたという点、彼の摂理的アイデンティティが1998年以後一貫して主張してきた宗教以後の摂理に焦点が合わせられており、宗教に執着する文亨進などの他の指導者のアイデンティティと違っていたという点、全食口の前で説教する機会が相対的に少なかった状況で、文顯進の演説が信仰者を感動させたという点等は、文顯進に反対する側を刺激する契機になったであろう。
[3] 「アジア地域は國進、西洋地域は顯進、その次に宗教圏は一番後です。亨進がハーバード神学大学院に入ったこと、そこへ行こうとしたのではありません」『み言葉選集』482巻,21頁.2005.1.7.
[4] 「この渦中で、國進様はまるで連合戦線を構築するかのように仁進様を米国総会長に人事発令した。ところが、7月29日の亨進様の名前で発送された韓国語公文には、仁進様の職責が米国家庭連合総会長として発表されたが、英語公文には米国統一運動の責任を負うチェアマンとして発表され、彼女の地位と役割をお父様に直接尋ねるハプニングまで発生した。何故なら、当時の米国には全体の責任を負う大陸会長がおり、その上に文顯進が実質的な責任者の役割を遂行してきたからである。当時、金炳和米国大陸会長がお父様に伺った結果、仁進様は総会長(チェアマン)ではなく、牧会を担当する「祝司長(牧師)」と語られ、夫の朴珍成氏は絶対に教会の仕事に関与してはいけないと釘を差された。金炳和会長はお父様のみ言葉を直接録音までして仁進様に聞かせてさし上げたが、仁進様は最後まで、受け入れず、むしろこれによって金炳和会長夫妻は完全に追い出されることになった」 Kの証言
[5]『統一世界』2008.9,Vol.447,38頁.(2008.8.10.文亨進の説教)