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統一教の分裂

統一教会に一体何が起こっているのか? 著者は、統一教会分裂の現象を長年に亘って観察し、歴史的研究方法によって研究してきた。この本は、膨大な統一教会の一次資料に基づき、統一教会分裂の原因から過程、結果を詳細に記述し、統一教会の未来を見ている。

5章4)文亨進の登場とアイデンティティの歪曲-1<文顯進と正反対の立場から彼を警戒していこうという意図>

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5章4)文亨進の登場とアイデンティティの歪曲-1<文顯進と正反対の立場から彼を警戒していこうという意図>

4) 文亨進の登場とアイデンティティの歪曲-1<文顯進と正反対の立場から彼を警戒していこうという意図>

 

2004年以後、文亨進の存在が統一教会人に徐々に知られるようになった。しかし、彼が統一教会人としてどのように生きてきたのか、どういうアイデンティティを所有しているかが分かる資料[1]は多くない。財団理事長であった文國進が200667月に統一グループの機関•企業体を全面監査し、20068月から全国120教会を巡回していた時、文亨進は6月にハーバード大学神学大学院を卒業した。卒業後、文亨進は20069月に清平清心神学大学院大学で「天一国民ワークショップ」を開催し、公開の場で「特別敬拝精誠」を誇示しながら活動を始めた[2]

 

文亨進が統一教会に初めて登場した時、多くの統一教会人は彼がハーバード大学哲学科を卒業し、[3]大学院で宗教学を勉強したという履歴の故に相当な期待をした。彼が統一教会の宗教性を大きく発展させ、成約時代と天一国実現に大きく貢献するだろうという希望の故であった。さらには髪を剃り僧服を着て現われた彼の初めての姿から、何か新たな変化の可能性を占った。

 

文亨進のアイデンティティは、2008418日の世界平和統一家庭連合世界会長就任の辞で明らかに現われた[4]。即ち「第一に、自分が理解する創教者の統一運動の性格は徹底的に宗教である;第二に、自分は真の父母様(創教者)を讚揚し、億万歳の栄光をお返しする為の精誠で牧会する;第三に、統一教会の全ての事案を自分の兄である文國進と協力して創教者の『允許(許可)』を通じて決定する」ということだった。

 

このような主張の意図は、文顯進のアイデンティティと正反対のアイデンティティを主張することで、非難を浴びた文顯進と異なっていることを顕著に現わす為である。前にも言及した通り、文顯進が一世指導者から讒訴を受けた理由が、正に文亨進が言及したこの三つと文顯進は距離が遠かったからである。結局、文亨進のこの闡明を通じて、文顯進と正反対の立場から彼を警戒していこうという意図を把握することができる。家庭連合を「統一教」に変更してまで宗教的宗派的アイデンティティに執着した彼の意図が分かる。文亨進の抱負は、彼が新しく試みた儀礼と説教に遺憾なく現われている。

 

文亨進が統一教会になかった儀礼として新たに創ったものには、「心霊治癒礼拝」「七死復活八段完成」「天福式」、そして「天福祝祭」などがある。前天福宮牧師の金甲用によると、文亨進は2009717日に「七死復活八段完成、真の愛」の啓示を受けたという。父である創教者を肉的な目ではなく霊的な目で対するようになり、謝罪の心で2009729日から85日まで執務室で21千回の敬拝を行い、20099月から七死復活八段完成の「天福式」を毎日早朝祈祷会で実施したという。天福式の順序は、準備讃頌[5]、歓迎の挨拶[6]、統一原理立て[7]、聖書と原理の訓読[8]、栄光内容訓読[9]、讃揚、聖杯祈祷[10]、聖酒聖水浄化式[11]、聖水伝授式[12]、聖水式、信仰告白[13]、浄化と悔改めの為の統一原理120回敬拝[14]、祝祷、八段完成聖燭伝授式、個人祈祷及び閉会で構成されている。

 

天福式で目立つことは、統一教会人の信仰告白を代表する「家庭盟誓」とは別の、「栄光内容訓読」と「信仰告白」である。「栄光内容訓読文」において四大聖人の使命を最終完成した存在として神様の実体対象であり万王の王が正に「真の父母」であることを告白したのである。儀礼を通じて真の父母の神格化を定例化し教理化した。

 

真の父母の絶対的価値を統一教会の信仰者が告白することは、神格化という批判を受けるとしても、正常な宗教行為として理解できることである。しかし、四大聖人の使命失敗と彼らの価値を卑下する信仰告白は、排他的かつ利己的な宗教行為として誤解を受ける恐れがあった。彼が異なる宗教指導者との緊密な交流に力を尽くしており、四大聖人の像や肖像画を天福宮に「お迎え」までしたとしても、文亨進の態度は却って宗教間の葛藤を誘発し、宗教統合を実践した創教者の業績と本意を汚す結果をもたらす側面もある。信仰告白の中の「真の父母様宣誓」に登場する「復活」の意味は、統一原理で言う復活の意味よりも[15]キリスト教のイエスが死から再び生き返った「復活」の意味に類似[16]統一教会の伝統とは異質である。

 


 

[1] 2007.1.17.天正宮訓読会での文亨進の証し文.; 文亨進の証しと説教を通じて、正に上の兄である文榮進の他界直前までは宗教に対して特別に関心がなかったものと把握される。文榮進他界後に宗教の冥想法に深く心酔したと言及している。『統一世界』2010.8, Vol.470,12.

 

[2]『み言葉選集』525,332.; 526,12.; 536,134.;『統一世界』2006.5, Vol.423, 43-53, 116-117, 162-163; 2006.10, Vol.427, 画報; 2006.11, Vol.428, 画報; 2006.12, Vol.429, 画報; 「史報」, 180(2006), 103.; 181(2006), 30-35, 84-85.; 182(2007), 110-123.; 『統一教実録』, 650, 652, 659-677.

 

[3]『史報』第187(2008), 69.ところが、20129月の創教者他界直後、文亨進の学歴が偽造されていたという疑いが提起された。文亨進はハーバード大哲学科を出たのではなく、ハーバード分校(Harvard Extension School)で学び、幾つかの科目を聴講生の立場でハーバード大学(Harvard College)で履修した。その後はハーバード大学院に入学した。

 

[4] 2008.4.18.文亨進の世界平和統一家庭連合世界会長就任の辞.

 

[5] 準備讃頌は聖歌「盟誓」、服飾は礼服及び白色の靴、統一マークのネックレスとスカーフ、原理講論を持って登場する。

 

[6] 世界会長・文亨進が「神様と真の父母様の祝福が皆さんに共になされますように祈ります」と言うと、参席者が「アージュ」と答える。

 

[7] 文亨進夫妻の先唱に従って参席者が「授受作用、四位基台、神様の真の愛を相続して昇華する時まで栄光を捧げます」と斉唱した後に立った状態で合掌する。

 

[8] 文亨進が「今から皆一緒に聖書と原理講論を訓読します」と言うと、祝司長(文亨進の妻)が聖書と原理講論を各々訓読する。

 

[9] 栄光内容訓読は、プロテスタント儀礼の使徒信経暗誦のように、統一教会人のアイデンティティを告白する意味を内包している。「神様と真の父母様に栄光を捧げます。愛多き天のお父様。創世以来あなたの真の愛を相続した子女を待ってこられました。アダムとエバの堕落によって人類は姦夫サタンから利己的で偽りの愛を相続しました。神様はこの地上に四大聖人を送られました。釈迦、孔子、マホメット、そしてあなたの息子イエス・キリストを世に送り…しかし十字架の苦難に遭って亡くなる悲劇によって創造理想を成し遂げることができず、真の家庭を立てることができなかったので…真の父母様を送って神様の真の愛と父母の心情を相続し、イエスが成すことができなかった使命を成し遂げられました。真の父母様は個人、家庭、氏族、民族、国家、世界、天宙の罪を代わりに背負われ、七回死なれました。七死復活八段完成の道を歩んでこられました。真の父母様は地獄の底に下りて、ご自身の聖なる霊魂を投げ出して犠牲になられました。私たちと子女たち、私たちの家庭が霊肉で解放され永生を得られるようにされる為に私たちの代わりに苦難に遭われました。真の愛の力で、真の父母様は七度の死から復活されました。あなたの愛が死にも、如何なる罪悪にも勝ち抜くことができる力があるということを見せて下さいました。真の父母様は八段階の神様の完成圏内に上られました。創造主の絶対権能により天とこの地上に神様の完全な実体対象者として万王の王になられました。アージュ」

 

[10] 聖杯の上に文亨進と祝司長が手を上げると、ベルを一度鳴らして「この聖酒と聖水は、私たちが永遠な生を生きることができる基盤を作る為に、神様と真の父母様が注がれた苦労と苦痛を意味します」と宣言すると、「アージュ」と答える。

 

[11] 創教者が七度死から復活した意味を考え、聖酒で七回浄化する儀式。世界会長夫妻が1度、参席者が7度、各4回敬拝をする。

 

[12] 文亨進が聖酒と聖水を聖別後に聖酒を棒に一滴つけて聖水に混ぜる。聖酒を受け取り高く掲げて、左右の牧会者とその夫人に聖水を伝授し、祝司長は牧会者に聖花を伝授する。文亨進が「皆さんが神様と真の父母様に栄光をお返しすることができるように祈願します」と言うと、「アージュ」と答える。

 

[13]「皆一緒に立って、私たちの信仰告白で真の父母様に宣誓します」と言うと、皆一緒に「ここに神様の心情を解放してさし上げられた永遠なる私の真の父母様がおられます。真の父母様は私たちの永生の為に死と罪悪、そしてサタンから七度の死に勝利して復活されました。私は神様の真の愛をどれだけ実践して生きたかによって霊界で先祖から審判されるでしょう。私はこの七死復活の真の愛と父母の心情を相続します。真の父母様の名により私はこの瞬間から変化していくでしょう。アージュ」と斉唱する。「永遠なる真の父母様から神様の真の愛を相続して歴史の悲しみが平和と喜び、愛と希望に変わることを信じます」という世界会長の言葉に「アージュ」と答える。「あなたが流した涙が希望になるよう祈りながら、真の愛に対する私どもの信仰と服従によりあなたに喜びが充満するように祈ります」と言うと、「アージュ」と答える。

 

[14]「七死復活、八段完成、真の父母様勝利、真の愛勝利、私は生きている。感謝します」の七死復活讃頌をプロテスタントの讃美歌「私のような罪人を生かされた」の曲に従い、各小節を4回ずつ全部で5回繰り返して120回敬拝をする。

 

[15]「故に、復活は人間が堕落によってもたらされた死、即ちサタンの主管圏内に堕ちた立場から、復帰摂理によって神の直接主管圏内に復帰されてゆく、その過程的な現象を意味するのである。従って、罪を悔い改めて、昨日の自分より今日の自分が少しでも善に変わるとすれば、我々はそれだけ復活したことになる」『原理講論』213.5:復活論.

 

[16] 聖書の預言を文字どおり受け入れ、イエスが地上に再臨する時に、既に土の中に埋められて腐ってしまった全ての聖徒たちの肉身が再び原状そのままの姿で生き返るものと信じているキリスト教の信仰。(テサロニケⅠ4/16、マタイ福音27/52)


 




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プロフィール

HN:
JUN
性別:
女性
自己紹介:
「統一教の分裂」を読んで衝撃を受けた6500双の在韓日本婦人です。一人でも多くの日本人に読んで欲しいと思い、翻訳してブログに発表していくことにしました。

「統一教の分裂」目次

序文
1.特異な現象/1
2.統一教のアイデンティティ形成/5
  1)血統復帰の神話/7
  2)教理の形成:原理原本/11
  3)組織、教理、儀礼の体系化/14
  4)血統復帰儀礼の原型:創教者の聖婚式、子羊の宴/20
  5)血統復帰儀礼の拡張:統一教会信者の祝福結婚式/24
  6)祝福結婚式の過程と構造/28
  7)統一教会信者の生活と性的アイデンティティ/32
3.アイデンティティの大衆化/37
  1)血統復帰の拡張/37
  2)血統復帰儀礼の日常化:衆生式、復活式、永生式を通じた血統復帰/38
4.宗教を超えたアイデンティティ/43
  1)世界平和統一家庭連合の登場/43
  2)信念体系の確定:<8代教材教本と究極の真理/49
  3)創教者の使命完遂と人類解放日の宣布:基元節宣布/51
5. 創教者のカリスマ伝授の試みと反発/57
  1)文顕進の登場:カリスマ伝授の初の試み/58
  2)1世代の反発:世界基督教統一神霊協会の分裂開始/68
  3)文国進の登場と分裂の可視化/84
  4)文亨進の登場とアイデンティティの歪曲/97
6.カリスマ伝授の失敗:文顕進の追放過程/107
7.統一教の極限分裂とカリスマの没落/155
  1)分裂の内幕:2009年4月~2010年6月/156
  2)罠にかかった文顕進/165
  3)創教者の宣言文とカリスマの没落/167
  4)分裂の内幕:2010.6月~2012.8月/179
8.統一教の創教者が他界する/205
9.韓鶴子の変心/217
  1)教理の変更/217
   ①『天聖経』変更/219
   ②<家庭盟誓>変更/222
   ③『文鮮明先生御言葉集』内容削除した後、再配布/225
   2)文国進と文亨進の追放/230
10.韓鶴子の神格化の試み:神様の婦人から独生女へ/239
  1)韓鶴子の不順従/245
  2)神格化の最初の作業:神様婦人論/252
  3)神格化の二番目の作業:独生女論/262
  4)独生女論の教理化:『真の父母経』/274
  5)韓鶴子の現状分析(2012.9~現在)/277
   ①韓鶴子の自意識の変化/278
   ②韓鶴子のカリスマ/282
   ③韓鶴子の関心/283
  6)韓鶴子の現状の小結論/286
11.文亨進の最近の現状/291
  1)文亨進の説教/292
  2)文亨進の自意識/296
  3)創教者 崇拝/301
  4)韓鶴子への公開非難/303
12.文顕進の最近の現状/311
結び/317
参考文献/325
エピローグ/341